平成12年04月19日 衆議院 商工委員会

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日本共産党 吉井英勝
日本共産党の吉井英勝でございます。

新聞を含めて著作物の再販制度というのは、知る権利と、それから表現の自由を物質的に支えることによって民主主義社会の発展を進めるということと、もう1つ、文化政策的見地からこれがあるわけですが、これを維持していくことは非常に重要だと考えているわけです。これに逆らって、あるいはまた、真の消費者利益を裏切って行われているのが、悪質な拡張販売、拡販と言われている問題です。

そこで最初に、新聞の不当拡販の問題、そして、独禁法、不当景品類及び不当表示防止法にかかわる問題について質問したいと思います。

新聞社が販売店に押し紙を強制していたことで、公取が調査に入って、98年2月18日に独禁法第48条第1項による勧告と審決を出したということを伺っておりますが、まず、この事例の方から伺っておきたいと思います。

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政府参考人(公正取引委員会事務総局経済取引局長) 山田昭雄
御指摘の点は、平成10年の2月に勧告審決いたしました北国新聞に対する件でございます。

北国新聞は、イーグル作戦という増紙計画をつくりまして、そして、販売目標数を決めまして、販売店にそれに合うような注文部数を契約させ、そして、いわば押し紙を行ったということでございまして、当時の特殊指定「新聞業における特定の不公正な取引方法」の第2項に該当いたしまして、独占禁止法19条で禁止している不公正な取引方法に当たるとしまして審決した事例がございます。

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日本共産党 吉井英勝
新聞社の方が販売店に対して押し紙等を強制して、この結果として非常に経済的に困難に追い込まれていく。正常な形で新聞の読者を、販売店もあるいは新聞社そのものも、ふやしていくということで努力するのは当たり前だと思うのですが、ただ、経済的に非常に追い込まれていって、そして無理な拡販に追い込まれる、こういうことになったらやはり大問題だと思うのですね。

ですから私は、今おっしゃったように、新聞社の方が販売事業者に対して押し紙その他をやって、現に私この間も聞いてまいりましたけれども、15%から30%ぐらい常時押し紙がかなり大きい全国紙などでもやられている地域がありまして、こういうことについては、やはり地方の新聞だけではなくて、こういうことによって販売店の方が圧迫されることのないように厳しく対応していくということをやっていってもらわなければならぬと思います。

次に、新聞拡販のために、電子レンジやビデオつきテレビを長期契約者に贈ることをしていた者に対して、不当景品類及び不当表示防止法第3条に基づく公取告示違反で、排除命令を出したものがあるのではありませんか。詳しく聞いておきたいと思います。

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政府参考人(公正取引委員会事務総局経済取引局長) 山田昭雄
最初に、新聞販売発行本社が販売店に対して押し紙をしている点につきまして、ちょっとお答えさせていただきたいと思いますが、販売店の注文部数を超えて発行本社が押しつけてくるということにつきまして、注文契約書ということをつくりますものですから、発行本社の方であらかじめ決めた目標に合った販売数量を注文書に記載させるというような例もございまして、平成12年、昨年の7月に特殊指定を改正しております。(吉井委員「それはまた後でやります」と呼ぶ)

それで、御質問のもう1つの、過大な景品つき販売ということでございますが、これにつきましては、事例でございますが、ことしの3月に和歌山県の新聞販売店4社が非常に多額な、2500円から1万2000円くらい、4社でございます、いろいろ例がございますが、景品制限告示を大幅に超えるような多額の商品券であるとかビール券を提供いたしまして、これにつきまして排除命令を行っております。