昭和60年12月12日 衆議院 物価問題等に関する特別委員会

[198]
公明党 草川昭三
違反の行為は減少しているのか、あるいは仮に減少していないとすればその理由はどこにあるのか、お伺いします。

[199]
政府委員(公正取引委員会取引部長) 利部脩二
遺憾ながら、少なくとも現在においてはまだ減少しているとは見られません。

公正取引委員会で消費者モニターというのを全国に持っております。740余名ございますが、この消費者モニターに対しましてアンケート調査の形で、新聞の購読勧誘を受けた際に拡材の提供あるいは無代紙の提供を受けたことがあるかという点で調査をいたしましたところ、消費者モニターからの回答数を分母に、違法勧誘を受けた回数を分子とした違反性向ということで見てみますと、全国で47%ぐらいあります。昨年の同時期37%でございましたので、10%ぐらい悪化したということになります。

違反の回数を発行本社別に見ますと、部数の多いところに部数の多い割合以上に違反が多いという傾向が見られます。消費者モニターにあらわれた違反件数のうちで、全国紙有力3紙の違反割合が9割ぐらいに達しております。

以上のようなデータから見る限りは、違反行為はまだ減少しているとは考えられませんが、理由は幾つかあろうと思います。

まず、新聞の販売部数の伸びが頭打ちになっておりまして、そのため顧客奪取の競争が激化しているということがあろうかと思います。

それから新聞発行本社も、販売店も、新聞販売の正常化を進めなければいけないという点では自覚はしておるわけでございまして、具体的な改善措置は出してきておりますけれども、その具体的改善措置の成果がまだ上がっておらない、少し時間がかかっておるということがあろうかと思います。

それからまた、特に全国紙あるいはその一部に見られますように部数の拡大志向がなお非常に強いというところで、販売正常化が販売の段階まで十分に徹底していないことも大きな理由ではないかと私どもは考えております。

[200]
公明党 草川昭三
今答弁がありましたように、全国紙3社で違反件数の90%を占めるというのは、これはもう本当にいいかげんにしないと問題だと思いますね。同時に、全国紙3つがお互いに責任があるとはいいながらも、そのしわはやはり販売店なり販売店に従事する労働者、アルバイトの方々の労働条件に寄って悪化していくわけですから、私、この新聞販売店の問題は、これはもう公取しかないと思うのですね。

もちろん役所では、ABCという発行部数の関係では通産省等がございますけれども、あるいは文化庁もそれなりの役所でありますけれども、やはり公正取引という面では公正取引委員会がしっかりと御指導願ってやらなければいけない点だと思います。



[206]
公明党 草川昭三
どうやら時間が来ましたので、通商産業省の菅野サービス産業官もお見えになりますし、それから自治省の府県税課長がお見えになりますので、これはひとつ要望だけを申し上げておきます。

今お話がありましたように、なかなか新聞の正常化ということはうまくいきません。その1つは、発行部数に比例して広告収入がある。これは通産省のABCという1つの基準というのですか、このABCという発行部数の認定によって広告収入が決まりますから、押し紙というのが依然として残っている。押し紙をなくそうではないかということを我々は随分主張をいたしまして、一部改善をされておりますが、まだ有力な新聞社の販売店においては相変わらず押し紙というのがあるわけです。その押し紙は当然販売店主の負担になる。そうすると販売店がつぶれる。3分の1が5年間にかわるわけです。というのはつぶれるからで、今度は、仕方がないから本社がまた別な形の補助金を出す、何のことかわからぬというような状況がございますので、ぜひ通産省としてもこのABCのあり方についてはもう少し知恵を出していただいて、客観的な、私が先ほど申し上げましたような実態に応ずる広告収入のスケールというものを考えてもらいたい、こういう要望であります。

それから自治省に対しては、この販売店の事業税だと思いますけれども、今まで特別措置があったわけでございますが、これがことしの4月に廃止になっております。それで、来年の1月1日から来年の12月31日、いわゆる暦の1年間分が62年の4月1日から課税をされるということでございます。この課税の限度についての特例が行われておりますけれども、私は、これはやはりいろいろな税制上の問題があると思いますけれども、新聞販売店の特殊な状況ということも考えられて、ぜひ従来の事業税の取り扱いが残るようにしていただきたい。そして、零細な新聞販売店の経営を十分認識をしていただきたいということを要望いたしまして、質問が残りましたけれども、私の質問を終わりたい、こう思います。

以上です。