昭和31年02月14日 衆議院 商工委員会

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政府委員(公正取引委員会委員長) 横田正俊
それから最近の公正取引委員会の仕事のかなり多くの部分を占めておると思われまするものに、いわゆる不公正な取引方法の取締りという問題があるわけでございます。これは御承知のように独占禁止法に根拠を置きまして、公正取引委員会が不公正な取引方法といたしまして指定するもの、その指定がやはり公取の仕事になっておりますが、その指定しましたものに基きまして、業界におけるおもしろくない、そういう取引方法を取り締って参るという面にかなりの仕事のウエイトが最近では置かれておるのでございまするが、その中で2、3申し士げますと、ます第1に新聞における不公正な取引方法の問題でございます。

これは日常御承知のことと存じまするが、新聞業界におきましていろいろないわゆる販売戦がだんだんいき過ぎて参りまして、景品、招待つきの販売であるとかあるいは新聞社が販売店に対しましていわゆる押し紙をするとかその他おもしろくない方法が相当とられておりますので、これは昭和28年に公正取引会員会が業界等からの申し出もございまして、いろいろ調べました結果おもしろくないと思われるものにつきまして不公正な取引方法の指定をいたそうとしたのでございまするが、この際は、有力な新聞社からそういう問題は業界にまかせてくれ、あまり役所の方で手を入れないでくれといって、いわゆる自粛態勢をとるからというお話がございましたので、28年には警告を出した程度にとどまったのでございます。

業界におきましては、その後いろいろな手段を講じて自粛自戒に努めておったようでございまするが、やはりそこにどうしても自粛だけでは守り切れないものがございまして、特に最近、昨年の暮れでございまするが、御承知の大阪読売新聞は2億円の抽せん券、景品をつけまして抽せんをするというような、かなりとっぴな手段まで用いるというようなことが出て参りましたので、やはりこの際不公正な取引方法の指定をすることが適当であるという――これはむしろ業界の方からそういう要求が出て参りまして、かねがね委員会の方でも考えておったことでございますので、昨年の暮れに公聴会を開きまして指定をいたした次第でございます。

これはもちろん新聞の中味そのものに対してわれわれがとやこう言うわけではございませんので、いわゆる不正な不当な売り方という、販売方法そのものに対しまして若干の公けの規制を加えようという趣旨でございます。幸いにその後業界におきましては、ますます自粛態勢も整備せられまして、まだ若干問題は残っておりまするが、ある意味において非常に新聞業界がきれいになっております。しかしこれはやはり今後の問題としまして、指定も最近のことでございまするので、今後もこの方面に相当注意を払って参りたいと考えております。