昭和42年06月01日 参議院 商工委員会

[018]
日本社会党(社会民主党) 竹田現照
それじゃ新聞についてお聞きいたしますけれども、これは38、9年ごろ、新聞の値上げについてだいぶ世論がわき上がったときに、一つのあれが出ましたけれども、新聞の特定の不公正な取引方法というものが、公取にも届けられて認められているわけですけれども、たとえば新聞を売る場合に金銭、物品、あるいは供応、抽せん券、その他に類する経済の利益を供与し、または供与することを申し出るということはいけない。あるいはまた無代紙、または見本紙を配付することはいけない。こういうことになっているのですけれども、現実は新聞の拡販に伴って、これはもう三大紙をはじめ東京なんかはどうかわかりませんですけれども、私もこの間自分の家におりましたら、ある新聞の拡販員がきまして、いろいろ言っていました。そうしていろいろなものを持ってきまして、そしてやっている。これは明らかに39年だったですか、取引方法に関して書かれていることに違反をしている。

特に新聞なんというのは世論を形成するものですから、国会議員ばかりたたかれますけれども、新聞をただで読ませて、それは要領のいいのは半年ただで読むわけですね。1ヵ月ただですから、それで1ヵ月ただで取ってしまう。次の1ヵ月は金を払う。1年のうち半分金を出せば、半分ただで見れるわけです。これは実際問題としていま行なわれているわけですね。

ところが、新聞というのは無冠の帝王で、非常に力があるのかどうか知りませんけれども、自分に都合の悪いことは新聞は書きませんから。こういうことについては、もう少しきちっとした規制を新聞関係者とも十分打ち合わせをしながら、これはただでものを読むとか、ただで何とかというのは最もよろしくないですよ。そういう教育を新聞社が形の上で行なっているということは。

ですからそういうことをやはり公取というものはもう少しはっきりした手立てを具体的に示してほしい、示すべきである。こういうことを私は思うのです。それができないと、やはり新聞のような力のあるものには弱い、弱いものには強い、こういうようなことを言わざるを得ない結果を招くと思うのですよ。これは現実に行なわれているのですから、どんなものですか。

[019]
政府委員(公正取引委員会委員長) 北島武雄
新聞における景品の提供につきましては、不当景品類及び不当表示防止法に基づきまして、新聞業界の中において公正競争規約がございます。景品類は一切提供してはならないという規定で、非常にこまかい緻密な規定がございます。これは自主規制でございます。その上に乗っかりまして、公取といたしましては、39年10月の告示をもちまして、新聞業における景品類の提供に関する事項の制限ということで、景品を提供してはならないということを言っております。若干例外はありますが……。ただいまの無代紙というのは、禁じられているところの景品に入るわけであります。自主規制でも、もちろんこういうことはしてはならないことになっております。

ところが往々にして、こういった無代紙とか、さらにまたポリバケツの提供とか、あるいはプロ野球を見せに連れていく、こういったことが行なわれております。ことに昨年の秋ごろ千葉県の銚子地方におきまして、そういうことが2つの新聞であった。1つは無代紙の提供を始める、専売店が。そうすると、それに対抗しまして、他の1つの新聞がポリバケツの提供を始めるということで、最近泥試合になっておりましたのを私ども調べまして、最近これは新聞の公正取引協議会会長によりまして、これは自主規制でやるべきであるから、これは十分に県下でひとつ自分たちの中で取り締まれという警告を発しております。

[020]
日本社会党(社会民主党) 竹田現照
これは警告をお出しになったケースもあるようですが、現実にそのことがあとを断たないわけですね。新聞のこの問題というのは言われてから久しいのですよ。それでなおかつできないというのは、これは世の中の常識の1つでなければならぬと思うのですが、それがやらないということはどうも公取はなめられているのじゃないか。警告の出しっぱなしで、やり得だ、やっぱりばらまいて新聞を拡販したほうが結果的に新聞経営的な面から考えるとそれはいいのだ、そういうことになっているわけで、これはどうしても規制のしようがないのですか。きのうきょう起こったことでないのです。久しきにわたっているわけですから、これはいまの公取の力量ではいかんともしがたい、なすがままだというふうに言わざるを得ないわけです。