平成18年03月24日 参議院 予算委員会

[006]
政府特別補佐人(公正取引委員会委員長) 竹島一彦
我々が議論しておりますのは、活字文化でありますとか新聞の特殊性だとか、知る権利のために戸別配達が大事であるとか、そういうことに対してそうではないということを言っているわけじゃ毛頭ございません。

今の、この特殊指定というのは分かりにくいんですが、一方で再販制度というものがございます。再販制度というのは、本来は独占禁止法によって禁止されている行為につきまして、著作物に関しては例外として再販をやってよろしいと、民民規制をやってよろしいということでございまして、これは独禁法にちゃんとそのための条文があって、適用除外の条文があって行われているものでございます。

で、この再販制度については、私どもはこれをいじるつもりはございません。したがって、それぞれの新聞本社の価格政策に基づいて、全国一律だれにもどこでも同じ値段で売るということを言っておられるその新聞各社が販売店をしてそうさせる行為は、これは正に適用除外で認められている再販制度としていいわけでございますので、これは、このことについては我々問題にしているわけじゃないわけでございます。

ところが、新聞協会が車の両輪とおっしゃっておられるもう一方の新聞の特殊指定と、これを問題にしているわけでございまして、この特殊指定というのは、釈迦に説法でございますけれども、優越的地位の濫用とか不当廉売とか、そういったこと、これ、いわゆる不公正な取引方法ということで、独占禁止法の第19条によって禁止されている行為でございます。具体的に何が不公正な取引行為に当たるかということにつきましては、公正取引委員会が指定するということに法律上なっております。

で、その具体的な指定の仕方として2つありまして、一般指定と特殊指定というのがあります。一般指定というのは、あらゆる事業者にこれは共通して適用される指定でございますので一般指定でございます。それで、それでは十分ではない、特殊な事情があるというものについては特殊指定というものを別途指定することができていると。で、今現在、最近まで7つございました。そのうちの1つが新聞の特殊指定というものでございまして、そういう位置付けの特殊指定でございます。

これは法律でも政令でもございません。法律上に根拠を置いて、公正取引委員会が公正取引委員会決定に基づく告示として、その指定をしておるわけでございます。

それで、問題の新聞の特殊指定になりますが、その新聞の特殊指定というのは何を定めているかと。3つ定めてございます。

この1つは、新聞の発行本社が地域又は売る相手によって定価を変えてはいけませんよと。要するに、値引きしてはいけませんよと。値引きをすれば独禁法違反になりますということが第1項に書いてございます。

今度は、第2項は、今度は販売店の問題でございますが、販売店が値引きをしたら、これは独禁法違反になりますよと、ことを書いてある。

3番目は、今度は販売店に対して新聞発行本社が、いわゆる押し紙と称して、要らないと言うのに、いや何部取れということを押し付けるという行為、これも禁止しております。



[009]
自由民主党 末松信介
ところで、さきおととい、知り合いのある新聞販売店にその現状を伺いました。公取委員長が今おっしゃったような話がたくさんありました。民主主義社会の基本である、国民の知る権利を支えるのが新聞であります。しかし、販売競争は大変すさまじいものでありました。関西地域では、ある新聞社が入ってきたから一層激化したとおっしゃっておられました。4年間購読したら1年間無料と、これは25%引きと一緒です。それで、1年間取ってくれたら1万円の商品券を差し上げると、20%引きと一緒なんです。冷蔵庫もくれるという話もあったそうなんですよ。新聞事業者もそれを承知しておるんですけれども、それは販売店が勝手にやったことだという話になってしまっているんですよね。

私は、こうした事実は改善されなければならないと思っておりますし、新聞協会もできるだけ改善するという、何かセンターをつくってやっているという話もあったんですけれども、こういったサービスではなくて、新聞は、記事の正確さや有意義な特集とか、社説の鋭さ、あるいは記事の見やすさ、カラー遣い、社会的公平性、そういう観点から購読されるべきであります。

物事には起承転結がありますから、始まりと終わりが大変大切だと思うんです。ですから、記事を書いてそれを読んでもらうという一連の流れにすべて新聞事業者は責任を負うべきだと私は思うんですけれども。



[011]
内閣官房長官 安倍晋三
ただいま委員が御指摘になった前段の部分なんですが、例えば、いわゆる販売店は、実態としては、1か月間無料で配るので取りあえず見てもらいたいとか、3年、4年購読するということをしていただければ1か月、2か月無料にするということを実態としてやっているのも間違いのない事実でありまして、私の秘書のところにもある新聞社が1か月間、2か月間ただで取ってもらいたいと、こういうことを言ってきたわけでありまして、私の秘書が取るわけのない新聞社が言ってきたわけでありまして、当然断ったそうであるわけでありますが。

また、いわゆる押し紙も禁止されているのに、いわゆる押し紙的な行為が横行しているのではないかと言う人もいるわけでありまして、実態としてはそういうところもしっかりとちゃんとこれ見ていく必要もあるんだろうと、こう思うわけでありまして、要は、先ほども申し上げたわけでありますが、これはいわゆる新聞業界を守るということではなくて、これはやはり国民の知る権利をきっちりと守っていく。これは東京にいようがあるいは過疎地にいようが離島にいようが、そうした、どういうことが今世の中で行われていると、そうしてそれに対してはどういう批判があり、どういう論評があるかということを知ることができるという社会をこれは維持をしていくということは、これ当然のことなんだろうと、このように思うわけでありまして、その観点からもしっかりとこれは検討を行ってもらいたいと。国民の利益のこれは確保、向上を図っていくということから検討をしていただきたいと、このように思っているところであります。

また、先ほど末松委員が御指摘になられたような、そういう価格に、いわゆるコンビニ等で売っている、駅売りも含めて、そこについてはバリエーションをある程度付けてもいいのではないかということはもちろん、それは、当然そういうことも含めて検討をして、これは業界側も検討をしていくことではないだろうかと、こんなように思っております。

[012]
自由民主党 末松信介
販売の正常化につきましては、公取委員長、これは進めていくべきだと思うんですけれども、宅配制度の維持の長官答弁ありました。あるいは、反対する議員がおっしゃっている国語文化の維持であるとか情報の共有化という点、この点だけの観点、きちっと頭の中に入れて協会と話し合っていただきたいと。十分その点お願いを申し上げたいと思うんです。

押し紙行為についても、実際押し紙行為じゃないんですけれども、3000売っていたら、目標として3050どうでしょうかという言い方をするそうですよね。やはり問題はあると。(発言する者あり)

そうですか。もう一回答弁を求めた方がいいということで、理事の御指摘でございまして、委員長。

[013]
政府特別補佐人(公正取引委員会委員長) 竹島一彦
新聞文化でありますとか著作物としての公共性とか、それは私どもも十分に理解しております。そのためにあるべき政策というのは当然議論されてしかるべきであると。

しかしながら、私どもが言っているのは、残念ながら新聞の特殊指定というものは筋が通りませんということを申し上げているわけなんで、その新聞の特殊指定が今存在するからそれを前提にと言われましても、法的根拠について説明ができないものについて続けるのは、いささか準司法機関としてはこれは問題が大き過ぎるというふうに思っているわけでございます。

何も宅配サービスに悪影響を及ぼそうとか、そういう意図は全くございません。それは大事なことであって、消費者の支持がある限り工夫されて維持されていくだろうというふうに思っております。